皆さん、こんにちは。群馬県邑楽郡大泉町の行政書士事務所 行政書士オフィスかわしまです。
こちらの記事では、化粧品製造業許可で設置要件とされている責任技術者について説明させていただきます。化粧品を日本国内で製造(包装・表示・保管のみを行う場合を含む)するためには、「化粧品製造業許可」が必須です。そして、その許可を維持するための最も重要な柱の一つが「責任技術者」の設置です。責任技術者は、単なる名義貸しではなく、製造所における製品の品質管理や製造工程を実質的に管理・監督する極めて重要な役割を担います。
責任技術者の設置義務について
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づき、化粧品製造業者は製造所ごとに専任の責任技術者を置かなければなりません。責任技術者の設置において、以下の内容を考慮する必要があります。
- 専任性: 原則として、その製造所に常駐している必要があります。他社の業務や、物理的に離れた別の製造所の責任技術者を兼ねることはできません。
- 役割: 従業員の監督、構造設備の管理、製造工程の品質管理の徹底など、現場の総責任者として機能します。
責任技術者になれる資格要件(人的要件)について
責任技術者は、誰でもなれるわけではありません。以下のように、学歴等、一定の条件があります。
- ① 薬剤師
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薬剤師免許を保有している場合、無条件で責任技術者になることが可能です。
※薬剤師の資格は、化粧品製造販売業者で、総括製造販売責任者になるための要件の一つでもあります。薬機法関連の許認可では、薬剤師の資格のお持ちの方は、色々と重宝されます。
- ② 専門の課程を修め、卒業した者
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大学等で以下のいずれかの学科を修めて卒業した者が該当します。
- 薬学に関する専門の課程
- 化学に関する専門の課程
注意点: 「化学に関する専門の課程」とは、単に一般教養で化学を学んだだけでは不十分です。化学科、応用化学科、工業化学科などが一般的ですが、農学部や工学部でも単位修得状況によっては認められるケースがあります。卒業証明書や単位取得証明書を持って、事前に各都道府県の薬務課へ相談するのが確実です。、当事務所にご相談頂ければ、当事務所でわかる範囲でご相談に応じます。
- ③ 旧制中学卒業以上の学力があり、化学の単位を修得した者
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旧制中学、あるいは高校等で化学に関する科目を修得した後、化粧品の製造実務に3年以上従事した経験がある場合です。
- ④ 厚生労働大臣が認めた者
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上記①〜③と同等以上の知識経験があると個別に認められたケースです。この要件を選択されるケースは少ないです。①~③の資格要件をご検討されるのが無難と思われます。
「化学に関する専門の課程」の判断基準について
責任技術者の資格要件を確認するにあたり、「化学に関する専門の過程」であるのかどうか、判断が難しい場合もあります。参考程度になりますが、専攻別の判断をまとめてみます。こちらの記載の内容は目安程度に考え、行政側には必ず確認してください。あくまで、最終的に判断されるのは行政担当者であることにご注意ください。
| 専攻 | 責任技術者の資格要件として認められる可能性 | 備考 |
| 理学部 化学科 | 認められるでしょう | 化学科であれば、問題ありません。 |
| 工学部 応用化学科 | 認められるでしょう | 応用化学科であれば、問題ありません。 他の学科でも化学に関連する学科であれば、問題ない可能性があります。 |
| 農学部 農芸化学科 | 認められるでしょう | 生化学や有機化学を専攻していれば概ね可能です。 |
| 家政学部・栄養学科 | 取得単位等によります | 化学系単位の取科学得数によります。 |
| 文系学部 | 難しいです | 教養課程で化学系の単位を取得していれば、実務3年と併せての要件クリアを目指すことになります。 |
責責任技術者の主な業務内容について
責任技術者は、製造所における「GQP(品質管理基準)」や「GMP(製造管理・品質管理基準)」の遵守において中心的な役割を果たします。
- 製造管理・品質管理の監督:
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原料の入庫から調合、充填、包装、出荷判定に至るまで、すべての工程が手順書通りに行われているかを監督します。
- 手順書の作成と維持:
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標準作業手順書(SOP)を作成し、常に最新の状態にアップデートします。
- 従業員の教育訓練:
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現場で働く作業員に対し、衛生管理や作業手順についての指導を行います。
- 記録の確認と保存:
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製造記録、品質試験記録などをチェックし、不備がないか確認した上で適切に保管します。
- 不適合品への対応:
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製造過程でトラブルが発生した際、原因究明と対策を行い、市場への流出を阻止します。
責任技術者に関する注意事項について
責任技術者について、注意すべき事項を、記載します。
- Q. 化粧品製造販売業許可の「総括製造販売責任者」との違いは?
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「製造販売業」は製品を市場に出荷する責任を負い、「製造業」は製品を物理的に作る(または包装する)責任を負います。この基本を元に、それぞれの責任者の役割は以下の通りになります。
- 総括製造販売責任者: 主にオフィスに勤務。安全管理・品質保証を行う。
- 責任技術者: 工場(製造所)に常駐。現場の製造工程を管理する。
※同一法人の同一敷地内であれば、「総括製造販売責任者」と「責任技術者」の兼務が認められる場合があります。兼務を検討している場合は、事前に、行政に相談しましょう。
- Q. 責任技術者は、アルバイトやパートでもなれる?
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理論上は不可能ではありませんが、「常勤性」と「継続性」が厳しく問われます。週5日フルタイム勤務が基本であり、責任を全うできる体制かどうかが審査されます。
- Q. 外部コンサルタントを責任技術者にできる?
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できません。責任技術者はその製造所の直接雇用(正社員等)である必要があります。派遣社員の場合は、管理体制が強固であれば認められるケースもありますが、基本的には直接雇用が推奨されます。
まとめ
化粧品製造業許可における責任技術者は、「資格(学歴)」と「常勤性」がセットで求められるポジションです。特に小規模な参入の場合、この「化学系を卒業した人材」の確保が最大のハードルになることが少なくありません。採用活動を始める前に、候補者の卒業証書や成績証明書を確認し、管轄の薬務課に「この経歴で責任技術者になれるか」を事前確認するのが無難です。
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