皆さん、こんにちは。群馬県邑楽郡大泉町の行政書士事務所 行政書士オフィスかわしまです。
こちらの記事では、「化粧品製造販売業許可」で設置の必要がある、薬事三役の兼務、兼任について解説致します。会社の組織が小さい場合、三役それぞれに人員を割り当てるのが難しいといったケースもあるでしょう。そういった場合に、兼任という選択肢が出て来る訳ですが、そのメリット、デメリット等も絡めて、説明致します。
三役の兼務について
「化粧品製造販売業許可」を取得、維持する上で避けて通れないのが、いわゆる「三役(総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者)」の設置です。特に小規模な組織やスタートアップ企業において、「これら3つの役割を1人で兼務できるのか?」という点は非常に重要な関心事でしょう。
結論から申し上げますと、「総括製造販売責任者(総括)」と「品質保証責任者(品責)」、および「安全管理責任者(安責)」の3役を1人が兼務することは、法的に認められています。そのため、規模の小さい会社様では、よくみられる形態です。化粧品事業の会社における位置づけ、現在の化粧品事業の売上など、諸々の要因があるため、人員を割くことが出来ない場合もあるでしょう。こういった場合に、兼任が検討されております。
そもそも三役とはどのような役目でしょうか?
化粧品の製造販売業(市場に製品を出荷する責任を負う業種)の許可を維持するためには、GQP(品質管理基準)およびGVP(製造販売後安全管理基準)を遵守しなければなりません。これらを適正に運用するための責任者が「三役」です。
- 総括製造販売責任者(総括)
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製造販売業における最高責任者。品質保証(GQP)と安全管理(GVP)の両部門を監督し、必要に応じて経営層に対して意見を述べる立場です。
- 品質保証責任者(品責)
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GQPに基づき、製品の市場出荷の判定や、製造所との連絡調整、品質不良が起きた際の対応を担います。
- 安全管理責任者(安責)
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GVPに基づき、製品の使用に伴う副作用情報の収集、分析、および必要な安全対策(健康被害が発生した場合の自主回収の判断など)を担います。
三役の兼務は「可能」です。ただし、条件があります
薬機法および施行規則において、化粧品の三役の兼務は原則として制限されていません。医薬品などの場合は部門の独立性が厳格に求められることがありますが、化粧品においては1人が全ての役割を担うことが実務上も広く行われています。ただし、兼務する場合には以下の条件をクリアしている必要があります。
- ① 総括製造販売責任者の資格要件を満たしていること
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兼務する「その人」自身が、三役それぞれの資格要件(主に総括の要件)を満たしていなければなりません。化粧品の場合、総括の要件は以下のいずれかです。これは当然と言えば、当然です。総括製造販売責任者になれない人が、三役を兼務することは、資格要件上、不可能ですので。
- 薬剤師
- 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
- 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品又は化粧品の製造販売、あるいは製造に関する業務に3年以上従事した者
三役を兼務する場合、この資格を持つ1人が「品質保証」と「安全管理」の責任も併せて引き受ける形になります。
- ② 業務遂行に支障がないこと
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これが行政が懸念とする大きなポイントです。1人で3つの役割を兼ねるということは、出荷判定(品責)も行い、副作用情報の収集(安責)も行い、それらを統括(総括)することになります。
「あまりに業務量が多く、片手間でしかできない」状態は、適正な品質・安全管理がなされていないとみなされ、査察(業許可の更新時など)で厳しく指摘される可能性があります。
兼務する場合の組織図と手順書について
三役を兼務する場合でも、社内の「組織図」や「GQP/GVP手順書」には、それぞれの役割を明確に記載しなければなりません。
組織図上は、三役兼務の場合、「総括製造販売責任者」「品質保証責任者」「安全管理責任者」という3つのボックス(役職名)を記載し、そのすべてに同じ個人名を記載します。
また、手順書(SOP)について、整合性を持たせる必要があります。手順書上では、「品質保証責任者は総括製造販売責任者に報告しなければならない」といった規定があります。1人兼務の場合、「自分から自分へ報告する」ことになりますが、実務としては「記録を作成し、自ら確認・承認の捺印を行う」というプロセスを辿ることになります。
三役兼務のメリットとデメリット
先にも書きました通り、多くの企業(とりわけ中小企業)が兼務を選択する背景には経済的な理由があります。とは言え、この三役兼務のデメリットも理解しておく必要があります。
- 三役兼務のメリットについて
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- 人件費の抑制になります。資格要件を満たす人材を3人雇うのは、小規模事業者にとって大きなコスト負担です。1人で済むのは最大の経済的メリットです。
- 意思決定のスピードを速められます。品質問題が発生した際、各責任者間の調整が不要(自分の中で完結する)なため、迅速な判断が可能です。
- 情報の集約が可能です。品質情報と安全管理情報が1人に集まるため、情報の抜け漏れが起こりにくくなります。
- 三役兼務のデメリットについて
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- 相互牽制(チェック機能)の欠如が発生する可能性があります。本来、総括は品責や安責を「監督」する立場です。1人だと「自分のミスを自分で見逃す」リスクがあり、客観的なチェックが働きにくくなります。
- 属人化のリスクがあります。その1人が病欠や退職をした場合、代わりの有資格者がいなければ業許可の維持が不可能になります(欠格事由に該当する恐れ)。一人の担当者に情報が集まりすぎるのも、長期的な視点では、会社として好ましいことではありません。
- 業務過多になる傾向があります。取り扱う品目数が増えると、1人での書類作成や出荷判定が追いつかなくなり、ミスを誘発します。
三役兼務をやめるタイミングについて
化粧品事業を始めた当初は、売上がそれほどでなかったとしても、年数を経るうちに、大きく事業として成長する可能性も考えられます。それでは、どんなタイミングで、三役の兼務を解けばよいでしょうか?以下に、三役兼務を終了するタイミングの例を挙げます。
- 品目数が数十〜数百に達した時が挙げられます。このレベルになると、出荷判定の件数が増え、GQP記録の作成だけで1日が終わってしまうような状態になることが予想されます。業務量から考えまして、三役の兼務には危険が孕みます。このような状態で、問題が発生した場合、業務が完全にストップしてしまう可能性もあるでしょう。
- 海外輸入がメインになった時が挙げられます。海外メーカーとの品質取り決め(GQP契約)や輸入時の検査など、英語でのやり取りや複雑な工程が増える場合、1人ではリスクヘッジが困難です。
- 常駐の限界がある場合が挙げられます。三役は原則としてその事業所に「常駐」が必要です。1人が外回りや出張を兼ねている場合、適正な管理ができなくなります。
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