皆さん、こんにちは。群馬県邑楽郡大泉町の行政書士事務所 行政書士オフィスかわしまです。
こちらの記事では、「化粧品製造販売業許可」、「化粧品製造業許可」、それぞれの許認可で設置要件とされている、総括製造販売責任者、責任技術者の兼任、兼務について説明させて頂きます。
化粧品ビジネスを日本国内で展開するにあたって、避けて通れないのが「許可証」の維持と、それを支える「人的要件」の確保です。特に、「総括製造販売責任者」と「責任技術者」の兼務については、コストや人員配置の観点から非常に多くの相談が寄せられるテーマです。結論から申し上げますと、「一定の条件下で兼務は可能」ですが、物理的な距離や業務の専念義務、そして自治体ごとの判断というハードルが存在します。
総括製造販売責任者と責任技術者の違いついて
兼務の可否を理解するためには、まず両者の役割の違いを明確にする必要があります。
- 化粧品製造販売業で設置要件とされている「総括製造販売責任者」
-
化粧品を市場に出荷し、その品質と安全性を最終的に保証する役割です。
- 役割: GQP(品質管理基準)とGVP(製造販売後安全管理基準)を適正に実施し、製品の出荷判定を行います。言うなれば「司令塔」です。
- 設置場所: 事務所(製造販売業の許可拠点)。
- 化粧品製造業で設置要件とされている「責任技術者」
-
化粧品を実際に「作る(または包装・表示・保管する)」現場を管理する役割です。
- 役割: 構造設備を維持し、製造工程が適切に行われるよう実務的な監督を行います。言うなれば「現場監督」です。
- 設置場所: 製造所(工場や倉庫)。
総括製造販売責任者と責任技術者の兼務に関する法的根拠と原則について
薬機法(旧薬事法)において、医薬品や医薬部外品、化粧品の責任者の配置については厳格に定められています。
原則としては、「専任」とされています。本来、総括製造販売責任者も責任技術者も、それぞれの業務に支障をきたさないよう、その場所(事務所や製造所)に常駐して専任することが原則です。これは、何かトラブルがあった際に即座に対応し、品質管理を疎かにしないためです。
しかしながら、事業者の規模等によっては、化粧品事業に多くの人員を割けないといったケースもあるでしょう。そのため、厚生労働省の通知や各自治体の手引きにより、「同一敷地内」などの特定の条件下では、管理業務に支障がない限りにおいて兼務が認められています。
医薬品等では、各責任者の兼務は制限されている場合が多いです。化粧品は医薬品と比較してリスクが低いと判断されることが多いため、医薬品よりも兼務のハードルは相対的に低い傾向にあります。とは言え、それでも無条件ではないことに注意が必要です。
兼務させるための条件について
実務上、兼務を申請する際には以下に挙げる点をクリアしている必要があります。
- ① 資格要件を両方満たしていること
-
これは言うまでもないことですが、本人が両方の資格を持っていなければなりません。化粧品の場合、以下のいずれかに該当する人が対象となります。
- 大学等で薬学または化学の専門課程を修了した者
- 高校等で薬学または化学の専門課程を修了し、その後3年(または5年)以上、化粧品等の製造販売・製造実務に従事した者
- 厚生労働大臣が上記と同等以上の知識経験を有すると認めた者
- ② 物理的距離(同一敷地内であること)
-
これが最大の難所であり、大変大切なポイントです。
- 同じビル内、あるいは同じ敷地内の別棟に「事務所(製造販売業)」と「製造所(製造業)」がある場合。これは高い確率で兼務が認められます。
- 徒歩圏内や自転車で数分の距離。自治体によっては認められることがありますが、原則として「常駐」が難しくなるため、否定的な見解を示されることもあります。
- 電車移動が必要な距離、他県にある拠点など。物理的に「両方の現場を同時に監督できない」と判断されます。ただし、各自治体担当者の見解によりますが、化粧品製造販売業の事務所と化粧品製造業業の施設が別の件にある場合でもOKになる可能性もあるようです。これについては、確実にできるとは言えないので、ケースバイケースで対応が必要になるでしょう。
- ③ 業務量と職務の整合性について
-
一人の人間が二つの重責を担うため、その業務量が「一人で完結できる範囲か」が問われます。例えば、大規模な工場の工場長と、全国に流通する製品の総括を兼ねる場合などは、業務過多として指導が入る可能性があります。現実的に無理があるでしょう。
兼務する場合の組織と責任の所在について
兼務を行う場合、組織図上では「同一人物が二か所の部門を切り盛りする」状態になります。この場合、注意すべきは「自己点検」の客観性です。GQP(品質管理)において、総括は製造所に対して指示・監督を行う立場ですが、兼務していると「自分で自分をチェックする」ことになります。そのため、手順書(SOP)において、内部監査や自己点検をどのように客観的に行うかを明記しておくことが、実務上の信頼性を担保するコツとなります。
兼務のメリットとリスクについて
事業者が兼務を選択する背景には明確な理由がありますが、それと同時にリスクも抱えることになります。
- メリットについて
-
- 人件費の削減: 資格保持者を二人雇うコストは中小企業にとって重い負担です。一人で済めば固定費を大きく抑えられます。
- 意思決定のスピード: 現場の状況(製造)と市場の状況(販売後)を一人で把握しているため、トラブル発生時の判断が迅速です。
- リスクについて
-
- 属人化の加速: その一人が退職・病欠した場合、許可要件を即座に失う(欠格事由に該当する)リスクがあります。また、その一人が退職する場合などは大きな問題になります。一人に依存するということは、最悪のケースでは、許認可が維持できないことにもつながります。
- チェック機能の低下: 現場の「なあなあ」が、出荷判定(総括)の甘さに直結しやすい懸念があります。
- 自治体の厳しいチェック: 変更届や更新申請の際、業務実態について厳しくヒアリングされる可能性があります。
行政側の見解について
総括製造販売責任者、責任技術者の兼務については、自治体(薬務課)による判断の違いがあります。こういったケースを多く取り扱っている自治体では兼務について、寛容の場合もありますし、反対に、自治体によっては「兼務は極力避けるべき」というスタンスを強く持っているところもあります。一概に、兼務が出来る、出来ないといえないため、自己判断で申請準備を進めるの危険です。
総括製造販売責任者、責任技術者の兼務をお考えの場合は、当事務所でもご相談に応じます。お気軽にお問合せ下さい。
まとめ
化粧品の総括製造販売責任者と責任技術者の兼務は、「同一敷地内」かつ「本人の資格・能力が十分」であれば、多くのケースで認められています。私自身、以前、総括製造販売責任者と責任技術者を兼務した経験があります。
しかし、事業が拡大し、製造量や品目数が増えてくると、一人で両方の責務を全うすることは物理的に困難になります。成長段階に合わせて、将来的に専任者を分ける計画を立てておくことが、化粧品ビジネスを末永く行う上で鍵となります。
お問合せ
当事務所では、総括製造販売責任者、責任技術者の兼務に関する、お問合せを受け付けております。お気軽にご連絡ください。お問い合わせは、以下のフォームからお願いします。
また、お電話、あるいは、Zoom、Google Meet、LINE等のオンラインツールでもお問合せ可能です。こちらをご覧ください。

