皆さん、こんにちは。行政書士オフィスかわしまです。
こちらの記事では、洗剤を日本国内で製造販売、製造する上で注意すべき事項について説明させて頂きます。洗剤の製造および製造販売(上市)を行うには、その洗剤が「家庭用品」として扱われるのか、それとも薬機法上の「医薬部外品・化粧品」として扱われるのかによって、法規制が劇的に変わります。こちらの記事では、最も一般的な衣料用・台所用洗剤(家庭用品品質表示法の対象)を中心に法規制、製造体制、品質管理の観点から解説します。
洗剤の関連する法的区分、許可について
まず、自社がどのような洗剤を扱い、どこまでを担当するかで必要な免許が異なります。薬機法が絡んだ製品になると、製造、製造販売するためのハードルが上がることになります。
- ① 家庭用洗剤(雑貨)の場合
-
衣類用、住居用、台所用洗剤などは、一般的に「雑貨(日用品)」に分類されます。
- 製造販売業許可: 不要。
- 製造業許可: 不要。
家庭用洗剤の場合、日本国内で製造する場合も、製造販売する場合も、取得すべき許認可はありません。法的ハードルは低いといえます。ただし、後述する「家庭用品品質表示法」や「化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)」等の遵守が義務付けられます。
- ② 薬事対象(医薬部外品・化粧品)の場合
-
薬用ハンドソープ、薬用入浴剤、あるいは「除菌・消毒」を効能として強くうたう製品は、医薬部外品に該当します。
- 製造販売業許可: 製品を市場に出すために必要(総括製造販売責任者の設置など、満たすべき要件があります)。
- 製造業許可: 工場で実際に製造するために必要(責任技術者の設置が必要など、満たすべき要件があります)。
これらの許可取得には、数か月から、設備要件を整える必要がある場合は年単位の準備が必要になる可能性があります。
遵守すべき主な法律とルールについて
洗剤ビジネスで最も重要となるのが、消費者保護と環境保全のための規制です。
- A. 家庭用品品質表示法
-
消費者が正しく商品を選べるよう、ラベルに以下の項目を記載する義務があります。
- 品名:(例:洗濯用合成洗剤)
- 成分: 界面活性剤の種類と含有量、助剤など。
- 液性: 酸性、中性、アルカリ性の区別。
- 用途: 何に使うためのものか。
- 使用量の目安: 水に対する適切な量。
- 表示者: 責任の所在(社名、住所、電話番号)。
- B. 化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)
-
洗剤に含まれる成分(特定の界面活性剤など)が、環境に悪影響を及ぼす可能性がある場合、その移動量を記録・報告しなければなりません。
- C. GHS表示とSDS(安全データシート)
-
- SDS: 業者間で取引する際、化学物質の危険性や有害性を記載した書類の提供が義務付けられています。
- GHSラベル: 容器に「警告」や「腐食性」などのピクトグラムを表示し、安全な取扱いを促します。
PRTR法に基づく届け出、SDSの作成等、当事務所でサポートも可能です。お気軽にお問合せ下さい。
製造・品質管理(QMS)の要件について
洗剤は化学製品であるため、品質の安定性がビジネスの継続性を左右します。
- ① 原材料の選定と配合
-
- 界面活性剤の選定: 汚れを落とす主成分です。アニオン、カチオン、非イオン、両性の4種を目的(洗浄力重視か低刺激重視か)に合わせて配合します。
- 生分解性: 現代の製造において、排水後の環境負荷(微生物による分解のしやすさ)は必須要件です。
- ② 工場設備と製造プロセス
-
- 混合釜(攪拌機): 粘度の高い液体を均一に混ぜるための設備。
- 充填ライン: 正確な量をボトルに詰める設備。
- 洗浄設備: 異なる製品を製造する際のコンタミネーション(混入)を防ぐためのCIP(定置洗浄)システム。
- ③ 品質検査項目
-
- 外観・色調: 異常な濁りや変色がないか。
- pH値: 設計通りの液性になっているか。
- 比重・粘度: 充填や使用感に影響するため厳密に管理。
- 洗浄力テスト: 標準汚染布を用いた性能評価。
製造販売(マーケティング・流通)の要件について
製品を作った後、市場に流通させるための戦略的要件も検討する必要があります。
- ① 容器・パッケージの選定
-
- 耐薬品性: 洗剤成分によってプラスチックが劣化しないか(ストレスクラッキング試験)。
- 誤飲防止: 子供が簡単に開けられないキャップ構造(チャイルドレジスタンス)の検討。
- ② 景品表示法への対応
-
「世界最強の洗浄力」「100%天然成分」といった誇大広告は厳禁です。合理的な根拠(エビデンス)を社内で保持しておく必要があります。
- ③ PL法(製造物責任法)への備え
-
万が一、製品の使用により消費者に損害(肌荒れ、衣類の損傷、事故など)を与えた場合に備え、PL保険への加入は必須と言えます。
洗剤ビジネス参入の流れについて
自社で製造から販売まで行う場合の一般的なフローです。
- 製品コンセプトの決定: ターゲット(一般家庭、プロ用)と法的区分の特定。
- 試作と処方確定: 界面活性剤の配合比を決定し、安定性試験(高温・低温での分離確認)を行う。
- 原料調達先の確保: 安定供給が可能で、SDSを提供できるサプライヤーを選定。
- 表示案の作成: 家庭用品品質表示法に基づき、パッケージデザインを作成。
- 製造ラインの構築: 自社工場、またはOEM(受託製造)メーカーとの契約。
- 販路開拓: 小売り、ECサイト、卸売など。
OEM会社のご検討について
もし、貴社が化学物質の取り扱いや設備の維持に不安がある場合は、まずはOEM(受託製造)を活用するのが無難と言えます。仮に、製造から販売まで、すべてをご自身の会社で行う場合、設備投資をはじめとした多大な初期投資が発生する恐れがあります。そして、当然ながら労働力として業務を行う従業員の確保等も必要となります。どうしても固定費が大きくなります。この固定費が発生することを覚悟して準備を進める必要があります。
一方、OEMメーカーは、上述した法規制や品質管理のノウハウを既に持っているため、ご自身の会社では「企画・販売」に特化することができ、初期投資のリスクを大幅に軽減できます。
洗剤市場は現在、単なる洗浄力だけでなく「除菌」「香り」「サステナビリティ(脱プラスチック、バイオマス原料)」が大きな付加価値となっています。どの切り口で勝負するかを明確にすることが、成功の鍵となります。洗剤は、多くのメーカーがしのぎを削るジャンルではありますが、生活必需品であることを考慮すると、今までない斬新なアイデアがあれば、新たな客層を得られる可能性はありますし、挑戦する価値はあるでしょう。価値観が多様になっている現代ですから、他社との差別化を消費者に対して如何にアピールできるかが大切です。
お問合せ
当事務所では、洗剤のビジネスをお考えの方のご質問等をお受けいたします。以下のフォームからお気軽にお問合せ下さい。
お電話、あるいは、Zoom、Google Meet、LINE等のオンラインツールでのお問い合わせも可能です。こちらをご覧ください。

