皆さん、こんにちは。群馬県邑楽郡大泉町の行政書士事務所 行政書士オフィスかわしまです。
こちらの記事では、化粧品原料で、大変メジャーな成分の一つ、グリチルリチン酸について解説させて頂きます。グリチルリチン酸、過去には、歯磨きのCM等でよくワードを聞いたなんて方も多いかもしれません。また、お店に行って、化粧品等のパッケージを確認されると、この成分名をよくみかけるなんて方もいらっしゃるのでは。
グリチルリチン酸(Glycyrrhizic acid)は、生薬である「甘草(カンゾウ)」の根や根茎に含まれる主要な有効成分です。その優れた薬理作用から、医薬品、化粧品、日用品(歯磨き粉やシャンプー)、さらには食品(甘味料)に至るまで、私たちの身の回りで非常に幅広く活用されています。
グリチルリチン酸とは?(概要と種類)
グリチルリチン酸は、砂糖の数十倍から約200倍の甘味を持つため、天然の甘味料としても知られています。とは言え、最大の特徴はその強力な「抗炎症作用(炎症を抑える働き)」にあります。化粧品業界、医薬品業界では、主として、この機能に着目して利用されています。製品に配合される際は、水に溶けやすく安定性を高めた誘導体(塩)の形で使われることがほとんどです。以下に主な誘導体を紹介します。
- グリチルリチン酸2K(グリチルリチン酸ジカリウム)
-
特徴:水に非常に溶けやすい。
主な用途:化粧水、美容液、シャンプー、歯磨き粉、風邪薬など。肌なじみが良いため、スキンケア製品の「抗炎症有効成分」として最も頻繁に目にする成分です。
- グリチルリチン酸一アンモニウム
-
特徴:甘味が強く、医薬品や食品の矯味剤(味を調える成分)として使われることが多い。
- グリチルレチン酸
-
特徴:グリチルリチン酸から糖が外れた構造(アグリコン)。油に溶けやすい(脂溶性)。
主な用途:クリームや軟膏、リップクリームなど、油分が多い製品に配合されます。
グリチルリチン酸の主な効果・効能
グリチルリチン酸には、医療現場から毎日のスキンケアまで役立つ、数多くの優れた効果があります。代表的な効果を以下に紹介します。
- ① 強力な抗炎症・抗アレルギー効果
-
グリチルリチン酸の最も代表的な効果です。体内で炎症を引き起こす刺激物質や、アレルギー反応に関わるヒスタミンの放出を抑制します。
- 肌荒れ・ニキビの予防:紫外線や摩擦、乾燥などで炎症を起こした肌を鎮め、健やかな状態に導きます。また、ニキビの初期炎症を抑えることで、悪化やニキビ跡になるのを防ぎます。
- 口内炎や喉の痛みの緩和:トローチやうがい薬、歯磨き粉に配合され、粘膜の炎症を鎮めます。
- ② 肝機能の改善・解毒作用
-
こちらの内容は、医薬品等の分類になるので、化粧品、医薬部外品の領域からは外れますが、グリチルリチン酸の有効性を示す一つと言えます。医療分野(医薬品)において、グリチルリチン酸は慢性肝疾患(慢性肝炎)やウイルス性肝炎の治療に長年使われてきました。
- 注射薬(商品名:強力ネオミノファーゲンシーなど)や内服薬として処方されます。
- 肝細胞の保護: 肝細胞の膜を安定化させ、ウイルスの攻撃や免疫反応による肝細胞の破壊(壊死)を抑制します。これにより、肝機能の指標であるALT(GPT)やAST(GOT)の数値を低下させます。
- アレルギー性肝炎の抑制: 免疫反応の暴走を抑え、肝臓への負担を軽減します。
- ③ 頭皮環境の改善(育毛・フケ防止)
-
ヘアケア製品(シャンプーや育毛剤)において、グリチルリチン酸2Kは定番の有効成分です。
- フケ・かゆみの防止: 頭皮も顔と同じ「肌」であり、過剰な皮脂の酸化や常在菌のバランス崩れによって炎症(脂漏性皮膚炎など)を起こします。グリチルリチン酸がこの炎症を抑えることで、フケやかゆみを防ぎます。
- 育毛環境の整備: 炎症のない健やかな頭皮を作ることは、元気な髪の毛を育てるための土壌作りになります。
- ④ 美白サポート(炎症によるシミの予防)
-
グリチルリチン酸自体が直接メラニン色素を分解するわけではありませんが、「間接的な美白効果」が期待できます。肌が紫外線や刺激を受けると、細胞から「メラニンを作れ」という情報伝達物質(プロスタグランジンなど)が出されます。グリチルリチン酸はその前段階の炎症をブロックし、シミの元となるメラニンの過剰生成を未然に防ぐことができます。
化粧品・医薬部外品における役割と配合制限について
ドラッグストアなどでスキンケア製品を選ぶ際、パッケージの裏面に「有効成分:グリチルリチン酸2K」と書かれているのをよく見かけるかと思います。これはその製品が「医薬部外品(薬用化粧品)」である証拠です。化粧品に使用されている場合は、全成分表示欄に、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸2Kなどと表記されています。
- なぜ多くの化粧品、医薬部外品にグリチルリチン酸が配合されているのか?
-
- 肌荒れ防止の確かな実績: 長年の使用実績があり、効果と安全性のバランスが良いため。
- 処方の安定性: 水に溶けやすく、他の成分(ビタミンC誘導体や保湿剤など)の邪魔をしないため、化粧水やクリームに配合しやすい。
- マイルドな使用感: 敏感肌向けの製品にも配合しやすく、肌のバリア機能が低下しているときのレスキュー成分として機能するため。
- 注意!!!配合量には厳格なルールがあります
-
- 化粧品(一般): 原則として、製品中に 0.1% まで。
- 医薬部外品(薬用化粧品): 目的(ニキビ予防、肌荒れ防止など)に応じて、概ね 0.1%〜0.3% 程度が上限とされています。
このルールは大変大切です。グリチルリチン酸は使用する量によっては、副作用の懸念があります。ただし、市販のスキンケア製品を通常量使っている限り、後述する重篤な副作用が起こる心配は基本的にありません。
注意すべき副作用と「偽性アルドステロン症」について
グリチルリチン酸を摂取・使用する上で、最も注意しなければならないのが「偽性アルドステロン症(ぎせいアルドステロンしょう)」という副作用です。これは主に、「医薬品(漢方薬や風邪薬、胃腸薬)」や「食品(甘草を含む健康食品や多量の甘味料)」として、グリチルリチン酸を口から大量に、または長期にわたって摂取した場合に起こるリスクがあります。
- 偽性アルドステロン症とは?
-
専門的な話になりますが、グリチルリチン酸は酵素を阻害してコルチゾールを増やします。この増えたコルチゾールが、腎臓にある「アルドステロン受容体」を刺激してしまいます。すると、体内にアルドステロン(塩分を溜め込むホルモン)が過剰にあるような状態(偽性アルドステロン症)に陥ります。具体的には、体内にナトリウム(塩分)と水が溜まり込み、逆にカリウムが尿として大量に排出されてしまいます。
- 主な症状について
-
- 初期症状:手足のだるさ、しびれ、筋肉のつっぱり、こむら返り(足が攣る)。
- 進行した症状:全身のむくみ(浮腫)、急激な体重増加、著しい血圧の上昇(高血圧)、低カリウム血症。
- 対策と注意点について
-
漢方薬の重複に注意: 日本の医療用・一般用漢方薬の約7割に「甘草(カンゾウ)」が含まれています。例えば、風邪のときの「葛根湯」、喉の痛みの「甘草湯」、胃腸薬の「芍薬甘草湯」などを自己判断で複数同時に飲むと、グリチルリチン酸の過剰摂取になり、数日〜数週間で症状が出ることがあります。
- 1日の摂取目安量:医薬品におけるグリチルリチン酸の許容上限値は、一般的に1日あたりグリチルリチン酸として200mg(甘草として激増しなければ数グラム程度)が目安とされています。
- 化粧品やシャンプーは大丈夫?:皮膚から吸収される量(経皮吸収)はごくわずかであるため、化粧品、シャンプー、歯磨き粉などの外用製品で偽性アルドステロン症が起こる可能性は極めて低いとされています。ただし、超敏感肌の人が高濃度の製品を使い続けることで、稀に接触皮膚炎(かぶれ)を起こす可能性はゼロではないため、肌に合わない場合は使用を中止してください。
まとめ
グリチルリチン酸(およびグリチルリチン酸2K)は、「優れた抗炎症パワーを持ちながら、正しく使えば極めて安全で用途の広い万能成分」です。
- スキンケア・ヘアケアでは、日々の肌荒れ、ニキビ、フケ、かゆみを予防する頼れる味方。
- 医療現場では、壊れかけた肝臓を守り、辛い炎症を鎮める医薬品。
その一方で、甘草由来の成分として漢方薬などに広く含まれているため、内服する際は「気づかないうちの過剰摂取」に注意するという、正しい知識を持つことが大切です。成分の特性を正しく理解し、毎日の健康と美肌作りに上手に役立てましょう。
お問合せ
当事務所では、こちらの記事で説明した化粧品成分に関するご質問、化粧品、医薬部外品をはじめとした薬機法関連の許認可に関するご質問をお受け致します。以下のフォームからご連絡ください。
お電話、あるいは、Zoom、Google Meet、LINE等のオンラインツールでのお問い合わせも可能です。こちらをご覧ください。

