日本で販売する化粧品に使用期限の表示は必要ないでしょうか?必要でしょうか?

皆さん、こんにちは。群馬県邑楽郡大泉町の行政書士事務所 行政書士オフィスかわしまです。

当事務所では、日本国内で化粧品を製造販売する上で必須の「化粧品製造販売業許可」、化粧品を製造する上で必要な「化粧品製造業許可」、これらの新規申請、更新申請のサポートをしております。業務運営に関するサポートも致しますので、何かございましたら、お気軽に当事務所にご相談下さい。

こちらの記事では、多くの消費者の方が疑問に思われる「化粧品の使用期限」を取り上げます。粧品を安全に、そして安心して使用するために欠かせないのが「消費期限(使用期限)」の知識です。食品とは異なり、化粧品のパッケージには日付が書かれていないケースが多く、不思議に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。日本の化粧品における期限表示は、「医薬品医療機器等法(薬機法)」という法律によって厳格にルールが定められています。化粧品の消費期限表示に関する法的ルール、表示が免除される条件、開封後の実質的な期限(PAO)について説明します。

目次

日本における化粧品期限表示の基本ルール(薬機法)について

日本の法律において、化粧品の期限表示は「製造後3年」を一つの大きな基準としています。薬機法(第61条)では、以下のように定められています。

「適切な保存条件のもとで製造後3年以内に性状及び品質が変化するおそれのある化粧品」については、有効期限(使用期限)を表示しなければならない。

逆に言えば、「3年間は品質が絶対に変わらないとメーカーが保証できる化粧品であれば、パッケージに期限を表示しなくてもよい」ということになります。これが、私たちがお店で見かける多くの化粧品に有効期限が印刷されていない最大の理由です。

「製造後3年」の根拠について

日本の化粧品メーカーは、製品を発売する前に過酷な環境(高温多湿や光が当たる場所など)を再現した「安定性試験(加速試験)」を行います。この試験をクリアし、「通常の保管方法であれば3年間は分離、変色、異臭、成分の劣化が起きない」と確認されたものだけが、期限表示なしで流通しています。

期限表示が「義務」となる例外的なケースについて

先ほどは、薬機法で、メーカーが製造後3年間の品質を保証できるなら、使用期限の表示は必要ないと説明しました。ところが、使用期限表示が必要となる例外的なケースも実はあります。事業として化粧品を取り扱い検討されている方は、この例外について、押さえておく必要があります。使用期限表示が必要な製品であるのに、表示せずに販売してしまったら・・・、回収になるでしょう。くれぐれもお気を付けを!

① 3年以内に劣化する可能性のある特殊な成分を配合している場合
  • 生コラーゲンや生のビタミンCなど: 非常に酸化しやすく、デリケートな成分が主成分となっている美容液など。
  • 防腐剤を一切使用していない無添加化粧品: 一部のオーガニックブランドやファンケル(FANCL)などの製品には、製造年月日やフレッシュ期間(使用期限)が明記されています。
② 輸入化粧品(海外ブランド製品)

海外(特にEU諸国や韓国など)では、日本とは異なる法律で化粧品の期限表示が義務付けられている場合があります。これらを日本に並行輸入、あるいは正規輸入して販売する際、海外のルールに従って「EXP(Expiry date / 有効期限)」や具体的な日付が印字されているケースが多く見られます。

③ 医薬部外品(薬用化粧品)の一部

「美白」「ニキビ予防」などの有効成分が含まれる医薬部外品も、基本的には3年ルールが適用されますが、有効成分の安定性が3年持たない場合は、パッケージに必ず有効期限を表示しなければなりません。

グローバル標準:「PAO(Period After Opening)」表示について

日本の法律(薬機法)は「未開封で3年」を基準にしていますが、消費者が本当に知りたいのは「開封してからいつまで使えるか」という点です。これを示すのが、国際的な標準となっている「PAO表示」です。海外の化粧品や、グローバル展開している日本のブランドの容器を見ると、「蓋が開いたジャー(容器)のイラスト」の中に「12M」や「6M」と書かれたマークを目にすることがあります。

PAOマークの読み方
  • 「6M」: 開封後 6ヶ月(Months) 以内に使い切る。
  • 「12M」: 開封後 12ヶ月(1年) 以内に使い切る。
  • 「24M」: 開封後 24ヶ月(2年) 以内に使い切る。

EU(欧州連合)の法律では、「未開封で30ヶ月(2.5年)以上もつ製品」には未開封の期限表示を免除する代わりに、このPAOマークの記載を義務付けています。日本国内の法律ではPAOの表示義務はありませんが、外資系ブランドだけでなく、国内メーカーでも自主的にこのマークを導入する動きが定着しています。

化粧品が劣化した際の見分け方について(危険サイン)

期限内であっても、保管状態(直射日光、高温多湿)が悪いと化粧品は腐敗します。とりわけ、現在は夏場、異常な高温になるなど、化粧品については好ましい環境ではありません。夏場の車の中に化粧品を放置などした場合は、著しい劣化がみられると予想されます。そのためにも、消費者の側でも、劣化した化粧品を見分ける術は身に着けておいた方がよいでしょう。

とは言え、消費者側では、保管状態について、化粧品の状態について気にせず、使用してしまう方もいらっしゃるでしょう。メーカー側では消費者に化粧品が劣化しやすい環境下に放置しないよう注意すべきですし、劣化した化粧品は使用しないよう促すべきです。劣化した化粧品を使用して、消費者が何らかのトラブルを起こした場合、責任問題など大変難しいことになると思われます。以下のような状態が見られたら、肌トラブル(皮膚炎やニキビ、アレルギー反応)の原因になるため、ただちに使用を中止し、廃棄するよう注意喚起すべきです。

  • 異臭がする: 酸っぱい臭い、古い油のような臭い(ツンとする臭い)がする。
  • 分離している: 液体と油分が完全に分かれて二層になっている(振っても戻らない)。
  • 変色している: 購入時と明らかに色が異なっている(特にビタミンCや植物エキス配合のもの)。
  • テクスチャーの変化: 固まったり、逆にドロドロに溶けたり、ネバつきが出ている。
  • カビの発生: クリームの表面や容器のフチに、黒や白の斑点が出ている。

まとめ

日本の化粧品における消費期限表示は、「未開封で3年以上品質が保てるものは表示不要」という薬機法のルールに基づいています。しかし、これはあくまで「未開封かつ適切な環境で保管された場合」の話です。一度開封してしまえば、国内外のどんな化粧品であっても、空気・指の雑菌・湿気によって劣化が始まります。「肌につけるものは、食べ物と同じくらい鮮度が大切」という意識を持ち、アイテムごとの目安期間(PAO)を守って正しく使い切ることが、美しい肌を保つための最もシンプルで重要なルールです。

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